子宮内膜増殖症
子宮内膜が過剰に増える病気です。異型を伴うタイプは前がん病変。
大阪市北区・南森町の婦人科で、異型の有無まで正確に診断します。
こんにちは。ふくだあやレディースクリニック院長の福田綾です。
「生理の量がとても多い」「生理以外の出血が続く」「閉経したはずなのに出血があった」——このような症状で受診され、検査の結果「子宮内膜増殖症」が見つかる方がいらっしゃいます。あまり聞き慣れない病名かもしれませんが、決して珍しいものではありません。
子宮内膜増殖症は、子宮の内側をおおう「子宮内膜」が過剰に増えてしまう病気です。多くは適切な治療で改善しますが、なかには「異型子宮内膜増殖症」という前がん病変にあたるタイプがあり、これは子宮体がんへ進展するリスクがあるため、しっかりと見極めて対応することがとても大切です。「がん」という言葉が出てくると不安になられるかもしれませんが、正しく診断し、一人ひとりに合った方針を一緒に考えていきますので、まずはお気軽にご相談くださいね。
What is Endometrial Hyperplasia?
子宮内膜増殖症とは
子宮内膜は、月経周期にあわせて、エストロゲン(卵胞ホルモン)の働きで厚くなり、排卵後に分泌されるプロゲステロン(黄体ホルモン)の働きで整えられ、妊娠が成立しなければ月経として剥がれ落ちます。エストロゲンとプロゲステロンのバランスがとれていることで、内膜は正常に保たれています。
ところが、プロゲステロンによる拮抗が乏しいまま、エストロゲンが過剰に作用し続けると、子宮内膜が必要以上に厚く・過剰に増殖してしまいます。これが子宮内膜増殖症です。無排卵の状態や肥満、エストロゲン単独の影響などが背景になります。
子宮内膜増殖症は、顕微鏡で見たときの細胞の「異型(形の異常)」の有無によって、大きく二つに分けられます。
- 異型を伴わない子宮内膜増殖症:細胞に異型がないタイプです。子宮体がんへ進展する割合はわずかとされ、多くはホルモン治療や排卵の改善などで良くなります。
- 異型子宮内膜増殖症(子宮内膜異型増殖症):細胞に異型を伴うタイプで、前がん病変と位置づけられます。将来的に子宮体がんへ進展するリスクが高く、診断された時点ですでに子宮体がんが併存していることもあります。このため、がんに準じた慎重な対応が必要になります。
このように、同じ「増殖症」でも異型の有無によって、その後の対応や見通しが大きく異なります。だからこそ、子宮内膜の組織検査で異型の有無まできちんと確認することが重要です。子宮体がんについては子宮体がんのページもあわせてご覧ください。
Symptoms
🔵 こんな症状ありませんか?
一つでも当てはまる方は、早めに婦人科を受診してみてください。特に閉経後の出血は必ず受診が必要です。
- ✅ 月経の量が以前より明らかに増えた(過多月経)
- ✅ レバー状の大きな血のかたまりが出る
- ✅ 月経以外の時期に出血がある(不正出血)
- ✅ 月経がだらだらと長く続く・いつまでも止まらない
- ✅ 月経周期がバラバラで乱れている
- ✅ 閉経したのに出血があった
- ✅ 貧血を指摘された・動悸や息切れ、疲れやすさがある
- ✅ 生理周期が長く、排卵がうまくいっていないと言われたことがある
- ✅ 肥満・多嚢胞性卵巣症候群(PCOS)を指摘されている
- ✅ 乳がんの治療でタモキシフェンを使用している
これらの症状は、子宮内膜増殖症以外にも子宮筋腫やポリープ、ホルモンの乱れなどさまざまな原因で起こります。特に閉経後の出血は、少量であっても子宮内膜の病気のサインのことがありますので、「一度だけだから」と様子を見ず、必ず受診してくださいね。
Causes & Risk Factors
🟡 原因・リスク因子
子宮内膜増殖症の多くは、プロゲステロンの拮抗が乏しいまま、エストロゲンが過剰に作用し続けることが背景にあります。
- 無排卵(多嚢胞性卵巣症候群〈PCOS〉など):排卵が起こらないとプロゲステロンが十分に分泌されず、エストロゲンだけが内膜に作用し続けるため、増殖症が起こりやすくなります。詳しくはPCOSのページもご覧ください
- 肥満:脂肪組織ではアンドロゲンがエストロゲンに変換されます。そのため肥満があるとエストロゲンが増え、内膜への刺激が強まります
- エストロゲン単独の影響:黄体ホルモンを併用しないエストロゲン単独のホルモン補充など、プロゲステロンで拮抗されないエストロゲンの作用はリスクを高めます
- タモキシフェンの使用:乳がんの治療で用いられるタモキシフェンは、子宮内膜に対してはエストロゲン様の作用を示すことがあり、内膜増殖のリスク因子となります(治療上必要な場合は主治医の指示に従い、定期的な婦人科チェックを行います)
- 未産(出産経験がない):妊娠期間中はエストロゲンが持続的に作用しないため、出産経験がないことはリスク因子の一つとされます
- 糖尿病・高血圧:これらの生活習慣病は、肥満とも関連しながらリスクを高めることが知られています
- 閉経周辺期(更年期):排卵が不規則になり、エストロゲンとプロゲステロンのバランスが乱れやすい時期で、増殖症が起こりやすくなります
- エストロゲンを産生する卵巣腫瘍:まれに、ホルモンを作る卵巣腫瘍が背景になることもあります
これらのリスク因子が重なるほど注意が必要です。特に肥満・無排卵は、生活習慣の見直しや治療によって改善できる要因でもあります。
Diagnosis
診断方法
超音波だけでは確定できません。異型の有無を含めた確定診断には、子宮内膜の組織検査が重要です。
① 問診
月経の量・周期・持続日数、不正出血や閉経後出血の有無、妊娠・出産歴、体重の変化、糖尿病・高血圧などの持病、ホルモン剤やタモキシフェンの使用歴などをお聞きします。挙児(妊娠)のご希望の有無も、今後の方針を考えるうえで大切な情報です。
② 経腟超音波検査
子宮内膜の厚み(内膜肥厚)や、子宮筋腫・ポリープなど他の病気の有無を確認します。子宮内膜が厚くなっている場合や、閉経後に内膜が厚い場合には、さらに詳しい検査を検討します。痛みはほとんどなく、短時間で終わります。
③ 子宮内膜細胞診・子宮内膜組織診
子宮の内側から内膜の細胞や組織を採取して、顕微鏡で調べる検査です。子宮内膜増殖症の確定診断、そして「異型の有無」の判定には、この組織診(病理検査)が最も重要です。細胞診でスクリーニングを行い、必要に応じて組織診を追加します。異型があるかないかによって治療方針がまったく変わるため、正確な診断が欠かせません。
④ 子宮鏡検査(必要に応じて)
細いカメラを子宮内に挿入し、内膜の状態を直接観察します。ポリープや局所的な病変の有無を確認したり、狙った部位から組織を採取したりする際に有用です。必要と判断した場合に行います。
⑤ 追加の検査
貧血の程度を調べる血液検査や、背景にある糖尿病・ホルモン異常の評価を行うことがあります。異型が疑われる場合や子宮体がんの併存が心配される場合には、より精密な検査・対応が可能な高次医療機関と連携します。
Treatment
🔵 治療法
治療方針は「異型の有無」と「挙児(妊娠)のご希望」によって大きく変わります。一人ひとりの状況に合わせてご提案します。
◆ 異型を伴わない子宮内膜増殖症の場合
異型を伴わないタイプは、子宮体がんへ進展する割合が低いため、状態に応じて次のような対応を行います。
① 経過観察・背景因子の是正
症状が軽く、リスク因子が改善できる場合には、定期的な子宮内膜のフォローを行いながら、無排卵や肥満といった背景の是正(体重管理・生活習慣の改善など)を進めます。自然に改善することも少なくありません。
② 黄体ホルモン療法(プロゲスチン製剤)
過剰なエストロゲンの作用に拮抗する黄体ホルモンを補うことで、増殖した内膜を整えます。飲み薬による治療が中心で、治療後は内膜が改善しているかを組織検査で確認していきます。
③ レボノルゲストレル放出子宮内システム(ミレーナ)
子宮内に装着し、黄体ホルモン(レボノルゲストレル)を子宮内膜に直接・持続的に届ける方法です。過多月経の軽減も期待でき、内服が続けにくい方の選択肢になります。詳しくはミレーナのページもご覧ください。
◆ 異型子宮内膜増殖症の場合
異型子宮内膜増殖症は前がん病変であり、診断時にすでに子宮体がんが併存していることもあるため、がんに準じた対応が必要です。ここでも、挙児(妊娠)のご希望の有無によって方針が変わります。
① 妊娠のご希望がない場合
子宮を摘出する手術(子宮全摘出術)が標準的な対応として検討されます。手術が必要な場合には、当院で完結せず、手術・がん治療に対応できる提携の高次医療機関をご紹介し、連携して進めます。
② 妊娠を強く希望される場合(妊孕性温存治療)
子宮を残して妊娠の可能性を保つために、高用量の黄体ホルモンで内膜を改善させる治療(妊孕性温存治療)を検討することがあります。ただし、この治療は効果が得られないことや再発の可能性があり、治療中も繰り返し子宮内膜の組織検査で厳重に経過を確認する必要があります。治療がうまくいかない場合には手術が必要になることもあります。妊孕性温存治療は専門的な管理が必要となるため、がん治療・不妊治療に対応できる高次医療機関と連携して進めます。
いずれの場合も、ご本人のご希望やライフプランをよくお聞きしたうえで、最適な方針を一緒に考えていきます。料金については料金ページをご参照ください。
Self-Care & Daily Life
🟣 日常生活・セルフケア
子宮内膜増殖症は、背景にあるエストロゲン過剰の状態を整えることが、治療と再発予防の両方にとって大切です。治療と並行して、日常生活でも次のような点を意識していただくとよいでしょう。
体重管理・肥満の是正
脂肪組織はエストロゲンを産生するため、肥満は子宮内膜増殖症の重要なリスク因子です。無理のない範囲での減量は、内膜への刺激を減らし、再発予防にもつながります。バランスのよい食事と適度な運動を、できることから続けていきましょう。
生活習慣病の管理
糖尿病・高血圧などがある方は、それぞれの治療をきちんと続けることが大切です。かかりつけ医と連携しながら、全身の健康を整えていきましょう。
月経・出血の記録
月経の量や周期、不正出血の有無をメモやアプリで記録しておくと、受診の際に状態を正確に伝えられます。特に閉経後の出血は、少量でも必ず受診してください。
定期的なフォローを欠かさない
治療で改善した後も、背景にある要因が続いていると再発することがあります。自己判断で通院をやめず、指示された間隔で定期的なフォロー(超音波や内膜の検査)を受けることが、早期発見・再発予防につながります。
Risk of Neglect
⚠️ 放置すると起こりうること
⚠️ 症状を「よくある生理不順」「そのうち止まる出血」と自己判断して放置すると、次のようなリスクがあります。
- 子宮体がんへの進展:特に異型子宮内膜増殖症は前がん病変であり、放置すると子宮体がんへ進展するリスクがあります。診断された時点ですでにがんが併存していることもあるため、異型がある場合は速やかな対応が必要です。子宮体がんについては子宮体がんのページもご覧ください
- 不正出血の持続:不正出血や過多月経が続くことで、日常生活やQOL(生活の質)に影響が及びます。原因を確認しないままの放置は、病気の進行を見逃すことにつながります
- 貧血の進行:過多月経・不正出血が続くと鉄欠乏性貧血が進み、動悸・息切れ・強い倦怠感・立ちくらみなどが現れ、生活に支障が出ることがあります。詳しくは過多月経のページもご覧ください
- 妊娠の機会への影響:背景にある無排卵などが放置されると、将来の妊娠に影響することがあります。挙児をご希望の方は、早めの相談が選択肢を広げます
こわがらせたいわけではありません。大切なのは、「異型があるかどうか」を正しく調べ、必要な場合には適切な治療につなげることです。早く見つけて対応できれば、選べる方法も増えます。
When to Visit
受診のタイミング
- ✅ 閉経後に出血があった(少量でも必ず受診してください)
- ✅ 月経以外の不正出血が続いている
- ✅ 月経の量が多い・レバー状のかたまりが出る(過多月経)
- ✅ 月経がだらだらと長引く・止まりにくい
- ✅ 月経周期が乱れていて排卵がうまくいっていない
- ✅ 肥満・PCOSを指摘されており、生理の異常もある
- ✅ タモキシフェンを使用していて、出血やおりものの変化がある
- ✅ 貧血を指摘された・動悸や息切れがある
不正出血や過多月経は、多くの場合は良性の原因ですが、なかに子宮内膜増殖症や子宮体がんが隠れていることがあります。「これくらいで受診してもいいのかな」ではなく、気になる出血があれば早めにご相談ください。特に閉経後の出血は、必ず一度検査を受けていただきたい症状です。不正出血のページもあわせてご覧ください。
FAQ
🟤 よくあるご質問
Doctor's Message
院長より — 不安を抱えている方へ
「子宮内膜増殖症」「前がん病変」といった言葉を聞くと、とても不安になられると思います。実際、検査結果をお伝えすると、頭が真っ白になってしまう方も少なくありません。
でも、どうか落ち着いてお聞きください。子宮内膜増殖症の多くは、異型を伴わないタイプで、ホルモン治療や生活の見直しで良くなっていきます。そして、たとえ異型子宮内膜増殖症であっても、きちんと診断し、適切なタイミングで対応すれば、選べる方法があります。妊娠を希望される方には、その気持ちを大切にしながら、可能な選択肢を一緒に探していきます。
当院では、経腟超音波や子宮内膜の検査で異型の有無まで見極め、手術など専門的な治療が必要な場合には、提携する高次医療機関と連携してスムーズにおつなぎします。「どこに相談すればいいのかわからない」という段階でも大丈夫です。
大切なのは、不正出血や閉経後出血を放置しないこと、そして正しく診断することです。当院は女性医師による婦人科専門クリニックです。不安なお気持ちも含めて、どうぞ安心してお話しくださいね。
ふくだあやレディースクリニック 院長 福田 綾(産婦人科専門医)
Clinic Information
クリニック情報・アクセス・ご予約
ふくだあやレディースクリニック(本院)
院長 福田 綾(産婦人科専門医)
〒530-0038
大阪府大阪市北区紅梅町1-6 カザリーノビル1階
TEL:06-6354-0088
アクセス
- 大阪メトロ 谷町線・堺筋線「南森町駅」4番出口より徒歩約4分
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診療内容(本院)
婦人科・妊婦健診・子宮頸がん検診・医療脱毛など。過多月経・不正出血・子宮内膜増殖症のご相談は当院(本院)をご受診ください。手術など専門的な治療が必要な場合は、提携の高次医療機関をご紹介します。
※ 本ページの内容は、日本産科婦人科学会ガイドライン・最新の医学的エビデンスに基づき、院長・福田綾が監修しています。個々の症状・治療については必ず医師にご相談ください。