バルトリン腺嚢胞・膿瘍
外陰の片側が腫れて痛い、しこりがある。
自分で潰さず、大阪市北区・南森町の婦人科へご相談ください。
こんにちは。ふくだあやレディースクリニック院長の福田綾です。
「陰部の片側がぷっくり腫れてきて、座るとゴロゴロして痛い」「下着が擦れるだけで気になる、大きなしこりがある」——このようなお悩みで来院される方が、当院にもいらっしゃいます。その多くが、腟の入口にある「バルトリン腺」という分泌腺のトラブルです。
デリケートな場所だけに、「恥ずかしくてなかなか受診できなかった」「自分で何とかしようと触ってしまった」という方も少なくありません。ですが、無理に潰そうとすると炎症が悪化してしまうことがあります。腫れや痛みは適切な処置で楽になることが多いので、一人で我慢せず、お気軽にご相談くださいね。
What is Bartholin's Cyst?
バルトリン腺嚢胞・膿瘍とは
バルトリン腺(大前庭腺)は、腟の入口の左右にある小さな分泌腺です。性行為の際などに粘液を分泌して、腟の入口を潤す役割を担っています。ふだんは触れてもわからないほど小さな腺ですが、この腺から分泌液を送り出す「導管(出口の管)」が何らかの原因で詰まってしまうことがあります。
導管が詰まると、分泌液が外に出られずに腺の内部にたまり、袋状にふくらみます。これがバルトリン腺嚢胞です。小さなうちは痛みもなく、無症状のこともあります。
この嚢胞の中に細菌が入り込んで感染を起こし、化膿して膿がたまった状態がバルトリン腺膿瘍です。膿瘍になると、腫れが急に大きくなり、強い痛み・熱感・発赤を伴い、座ったり歩いたりするのもつらくなることがあります。嚢胞と膿瘍は地続きの状態で、詰まった嚢胞に感染が加わると膿瘍へと進みます。
Symptoms
🔵 こんな症状ありませんか?
一つでも当てはまる方は、早めに婦人科を受診してみてください。
- ✅ 外陰(腟の入口)の片側が腫れている・ふくらんでいる
- ✅ ぐりぐりとした「しこり」に触れる
- ✅ 座ったときにゴロゴロして痛い・違和感がある
- ✅ 歩きにくい・足を閉じると当たって痛い
- ✅ 腫れた部分に熱感がある・赤くなっている
- ✅ 触るとズキズキと強く痛む
- ✅ 性交時に入口が痛い・当たって不快
- ✅ 痛みはないが、片側だけ小さなしこりに気づいた
- ✅ 以前にも同じ場所が腫れたことがある(繰り返している)
痛みのない小さな嚢胞は、たまたま気づいて「これは何だろう」と不安になる方もいらっしゃいます。一方、急に腫れて強く痛む場合は膿瘍(化膿)を起こしている可能性があります。いずれの場合も、自分で潰そうとせず、まずは診察でご相談くださいね。
Causes
🟡 原因
バルトリン腺嚢胞・膿瘍は、大きく分けて「導管の詰まり」と「細菌感染」という二つの要素で起こります。
① 導管の閉塞(詰まり)
分泌液を送り出す導管の出口が、粘液の粘りけの変化や、ちょっとした炎症・むくみ・傷などによってふさがってしまうことがあります。出口が詰まると分泌液が腺の中にたまり、袋状の嚢胞ができます。はっきりした原因が特定できないことも多く、誰にでも起こりうるトラブルです。
② 細菌感染(化膿)
たまった分泌液に細菌が入り込むと、化膿して膿瘍になります。原因菌には、大腸菌をはじめとする皮膚や腸にいる一般的な細菌のほか、淋菌やクラミジアといった性感染症に関わる菌が関与していることもあります。複数の菌が混ざって検出されることも少なくありません。そのため、状況に応じて性感染症の検査を合わせて行うことがあります。
Diagnosis
診断方法
バルトリン腺嚢胞・膿瘍は、多くの場合、診察で比較的わかりやすい疾患です。当院では次のように診断します。
① 問診
いつから腫れ・しこりに気づいたか、痛みの程度、熱感の有無、これまでに同じ場所が腫れたことがあるか、性交時の痛みの有無などをお聞きします。デリケートな内容ですが、正確な診断のためにお話しいただければと思います。
② 視診・触診
外陰の腫れの場所・大きさ・かたさ・熱感・赤みなどを確認します。バルトリン腺は腟の入口の左右にあるため、片側だけに腫れ・しこりがあることが特徴的な所見です。触診で嚢胞(液体がたまった状態)か、膿瘍(化膿して熱感・強い圧痛がある状態)かをある程度見分けます。
③ 細菌培養検査(必要に応じて)
膿瘍で膿が出ている場合や、性感染症が疑われる場合には、膿や分泌物を採取して細菌培養検査を行い、原因菌や有効な抗菌薬を調べることがあります。必要に応じて淋菌・クラミジアなどの性感染症検査を合わせて行います。
④ 鑑別への注意
多くはバルトリン腺の良性のトラブルですが、中高年の方で腫れの様子が典型的でない場合や、しこりが硬い・治りにくいといった場合には、まれに腫瘍性の病変との区別が必要になることがあります。状態によっては精密検査や連携医療機関でのご相談をお勧めすることがあります。
Treatment
🔵 治療法
腫れの大きさや痛み・化膿の程度、再発の有無によって、対応は異なります。診察のうえで、状態に合わせた方法をご説明します。
① 無症状の小さな嚢胞:経過観察
痛みがなく小さな嚢胞は、必ずしもすぐに処置が必要とは限らず、経過をみることがあります。日常生活に支障がなければ、清潔を保ちながら様子をみて、大きくなったり痛みが出たりしたときに改めて対応を検討します。
② バルトリン腺膿瘍:切開排膿・抗菌薬
化膿して膿がたまり、強い腫れ・痛みがある膿瘍では、たまった膿を出す処置(切開排膿)を行うのが一般的です。膿を出すと圧迫がとれ、痛みが和らぎます。感染に対しては抗菌薬を使用することがあります。処置は局所麻酔のもとで行われるのが一般的です。
③ 再発を繰り返す場合:造袋術(開窓術)など
切開して膿を出すだけでは、導管の出口が再びふさがって同じ場所に嚢胞・膿瘍を繰り返すことがあります。再発を防ぐために、袋の壁を切り開いて縁を縫い付け、分泌液の出口を確保したまま治す造袋術(開窓術)などの方法が検討されます。このほか、細い管(カテーテル)を一定期間留置して出口を作る方法などが知られています。
④ 処置の規模による連携医療機関のご紹介
切開排膿など比較的小規模な処置は外来で対応できる場合がありますが、腫れや炎症が強い場合、造袋術などのより本格的な処置が必要な場合、あるいは麻酔・設備の観点から適切と判断される場合には、連携医療機関をご紹介することがあります。まずは診察で状態を確認し、当院で対応できる範囲と、ご紹介が望ましい場合について、正確にご説明いたします。
料金については料金ページをご参照ください。
Self-Care & Daily Life
🟣 日常生活・セルフケア
バルトリン腺のトラブルは、デリケートな場所だけに日常の不快感につながりやすいものです。治療と並行して、次のようなセルフケアを心がけてください。ただし、これらは補助的なもので、症状があるときは自己処置に頼らず受診することが大切です。
清潔を保つ
外陰部はぬるま湯で優しく洗い、清潔を保ってください。強くこすったり、洗いすぎたりすると、かえって刺激になります。通気性のよい綿素材の下着を選び、蒸れを避けることも役立ちます。
温めるケア(温罨法)
初期の軽い腫れや違和感に対しては、患部を温めることで楽に感じられることがあります。ぬるめのお湯につかったり、清潔な温タオルをあてたりする方法が知られています。ただし、強く押したりマッサージしたりする必要はありません。痛みや腫れが強いときは温めるより先に受診してください。
絶対に自分で潰さない
「膿を出せば楽になるのでは」と、ご自身で針を刺したり強く押して潰したりするのは絶対におやめください。清潔でない状態で行うと、細菌が奥に入り込んで炎症が広がったり、出血や傷の悪化を招く危険があります。処置は清潔な環境で適切に行う必要があります。
悪化のサインがあれば受診を
腫れが急に大きくなる、ズキズキと強く痛む、熱感が強い、発熱を伴う——こうしたサインは膿瘍(化膿)が進んでいる可能性があります。我慢せず、早めに受診してくださいね。
Risk of Neglect
⚠️ 放置すると起こりうること
⚠️ 「そのうち引っ込むだろう」と放置したり、自分で潰そうとしたりすると、次のようなリスクがあります。
- 膿瘍の増大・強い痛み:感染が進むと腫れがどんどん大きくなり、座る・歩く・下着が触れるだけでも強く痛むようになり、日常生活に大きく支障が出ることがあります
- 自壊(自然に破れる):膿瘍が大きくなると皮膚が薄くなり、自然に破れて膿が出ることがあります。一時的に痛みは和らぎますが、傷が残ったり不完全にしか排膿されず、炎症がぶり返すことがあります
- 再発の繰り返し:導管の出口が再びふさがると、同じ場所に嚢胞・膿瘍を何度も繰り返すことがあります。繰り返す場合は、排膿だけでなく再発予防の処置を検討する必要があります
- 炎症の広がり:自己処置で不潔に扱うと、周囲に感染が広がる危険があります。まれに広範囲の感染につながることもあるため、自己処置は避けてください
When to Visit
受診のタイミング
- ✅ 外陰の片側が腫れてきた・しこりに気づいた
- ✅ 座ると痛い・歩きにくい
- ✅ 腫れた部分に熱感・赤みがある
- ✅ 触るとズキズキ強く痛む
- ✅ 以前にも同じ場所が腫れて、また繰り返している
- ✅ 痛みはないが、しこりがだんだん大きくなってきた
- ✅ 妊娠中に外陰の腫れ・しこりが出てきた
腫れや痛みが出てきたら、大きくなる前の早めの受診がおすすめです。デリケートな部位のご相談ですが、女性医師が対応いたしますので、どうぞ安心してご予約くださいね。
FAQ
🟤 よくあるご質問
Doctor's Message
院長より — 受診をためらっている方へ
「陰部が腫れているなんて、人にはとても相談しにくい」「触られるのが恥ずかしくて、受診をためらってしまう」——そう感じる方は本当に多いです。デリケートな場所のお悩みだからこそ、なかなか一歩を踏み出せないお気持ちはよくわかります。
でも、バルトリン腺のトラブルは、婦人科では珍しくないご相談です。恥ずかしいことでも、あなたが何か悪いことをしたわけでもありません。そして、無理に自分で潰そうとすると炎症が悪化してしまうことがあります。腫れや痛みは、適切な処置で楽になることが多いのです。
当院は女性医師による婦人科専門クリニックです。まずは診察で状態を確認し、当院で対応できることと、より専門的な処置が望ましい場合の連携医療機関のご紹介について、ていねいにご説明します。「これくらいで来てもいいのかな」ではなく、気になったときに安心して来ていただける場所でありたいと考えています。どうぞお気軽にご予約くださいね。
ふくだあやレディースクリニック 院長 福田 綾(産婦人科専門医)
Clinic Information
クリニック情報・アクセス・ご予約
ふくだあやレディースクリニック(本院)
院長 福田 綾(産婦人科専門医)
〒530-0038
大阪府大阪市北区紅梅町1-6 カザリーノビル1階
TEL:06-6354-0088
アクセス
- 大阪メトロ 谷町線・堺筋線「南森町駅」4番出口より徒歩約4分
- JR東西線「大阪天満宮駅」9番出口より徒歩約1分
診療内容(本院)
婦人科・妊婦健診・子宮頸がん検診・医療脱毛など。外陰の腫れ・しこり・バルトリン腺嚢胞・膿瘍のご相談は当院(本院)をご受診ください。処置の規模によっては連携医療機関をご紹介する場合があります。
※ 本ページの内容は、日本産科婦人科学会ガイドライン・最新の医学的エビデンスに基づき、院長・福田綾が監修しています。個々の症状・治療については必ず医師にご相談ください。