ほとんどの赤ちゃんは健康に生まれてきますが3-5%の赤ちゃんにはご病気が見られます。つい最近まで、赤ちゃんの健康状態は生まれてからわかるものでしたが、医学の進歩に伴い、お腹にいる間でもある程度わかるようになってきました。これを出生前診断と言います。
当院はこの出生前診断の専門のクリニックで、赤ちゃんのエコー検査をはじめ、血液検査のNIPT(新型出生前診断)・染色体検査などさまざまな検査法検査が可能です。妊婦さんのご希望やご予算に合わせて、最適な検査を提案させて頂いています。
特に、出生前診断の中でも最も重要なエコー検査は、妊婦健診の流れで行う数分のエコー検査とは全く別の検査です。また、その精度は医師の技術や機器の性能の影響に依存しているため、エコー検査ならどこでも同じということにはなりません。当クリニックは出生前診断に長年関わってきた医師が、GEヘルスケアの最高峰モデルVoluson Expert22でお迎えしますので、安心してご受診下さい。
また、これから妊婦健診を受けるご予定のお母さんは、出生前診断クリニックでエコーを受けて頂ける、ふくだあやレディースクリニックの妊婦健診を候補に入れていただけたら幸いです。
Voluson Expert 22
について
当クリニックでは、最新の超音波診断装置「Voluson Expert 22」を導入しています。この装置は、妊娠中の赤ちゃんの状態をより正確に把握するために開発されたもので、特に初期の段階での異常検出に優れています。
Voluson Expert 22の特徴
- 高解像度画像
-
Voluson Expert 22は、従来モデルExpert10よりもさらに鮮明で詳細な画像を提供します。これにより、胎児の小さな構造や心臓の異常など、見逃しやすい部分まで確認することができます。
- 早期発見
-
この装置は、妊娠初期から胎児の異常を検出する能力に優れており、特に染色体異常や心臓の問題を早期に発見することが可能です。これにより、必要なケアや治療を早めに計画できます。
- 人工知能(AI)
による支援
-
Voluson Expert 22にはAI技術が搭載されており、検査結果の精度と効率を高めます。例えば、胎児の解剖学的構造を自動的に認識し、測定結果を迅速かつ正確に提供する機能があります。
Voluson Expert 22は、高度な技術と使いやすさを兼ね備えた最新の超音波装置であり、お母さんと赤ちゃんに最適な診断とケアを提供します。
当院は出生前検査認証制度等運営委員会が認める認定施設です。
染色体について
染色体とは体の設計図=DNAの塊で、すべての細胞の核に存在します。この染色体に様々な異常が起きることがあり、それが原因で起きる病気をまとめて染色体疾患と言います。
実際の染色体
染色体は、同じ長さのものが22組と性別を決める染色体(性染色体、写真のX Y:男児)を含めると正常は46本で構成されます。この染色体の本数や構造に異常が生じることがあり、それが原因で起きる病気を染色体疾患と言います。最も多いのが21番目の染色体が3本になるダウン症で、次に、18番目が3本になる18トリソミー、13番目が3本になる13トリソミーと続きます。
グラフのように、ダウン症・18トリソミー・13トリソミーは高齢のお母さんほど頻度が上昇します。
一方、若いお母さんは、全く染色体疾患がないわけではなく、年齢とあまり関係しない染色体疾患もあります。さらに、多因子疾患・薬剤性疾患など、染色体には全く異常がない病気もあり、病気全体の45%を占めます。
染色体スクリーニング検査
染色体スクリーニング検査は、赤ちゃんに染色体異常がある可能性を調べるための検査です。この検査は、あくまで「リスクが高いか低いか」を判断するものであり、確定診断ではありません。主なスクリーニング検査には、NIPT(新型出生前診断)と初期ドックがあります。
- NIPT
(新型出生前診断)
-
NIPTは、お母さんの血液中に含まれる胎児のDNA断片を分析し、ダウン症候群(21トリソミー)、18トリソミー、13トリソミーの染色体異常を調べることができます。この検査は採血なので流産リスクはなく、妊娠10週からできるため、初期ドックより早く安心できるの特徴です。ただし、NIPTは確定的な診断ではなく、陽性結果が出た場合には羊水検査などの確定検査が必要です。
- 初期ドック
-
超音波検査では、胎児の首の後ろにあるむくみ(NT:nuchal translucency)や鼻骨・三尖弁/静脈管逆流の有無をチェックし染色体異常の可能性を調べます。また、高精度な超音波装置を用いることで、体の形や内臓の構造的な異常もかなり詳細に調べることも可能になってきました。これらの所見からも染色体異常の可能性を推測することができます。超音波検査も安全な方法ですが、異常が見つかった場合には追加の検査が必要です。
スクリーニング検査後について
スクリーニング検査で「陽性」または「リスクが高い」と判定された場合でも、それだけで確定診断にはなりません。最終的な診断を行うためには、羊水検査や絨毛検査といった確定的な検査が必要です。これらは胎児由来の細胞を直接調べることで、染色体異常があるかどうかを正確に判断します。
NIPTと初期ドックの共通点
ダウン症、18トリソミー、13トリソミーの3疾患を対象にその可能性を調べることができます。
NIPTと初期ドックの相違点
|
NIPT |
初期ドック |
方法 |
血液検査 |
エコー検査 |
時期 |
10週以降 |
11週0日-13週6日 |
結果 |
陽性/陰性/保留 |
確率 |
判定 |
1週間前後 |
即日 |
対象疾患 |
3疾患のみ |
全疾患 |
精度 |
3疾患はNIPTが優れる 他疾患は初期ドックが優れる |
特徴 |
3疾患に特化した高精度な検査 |
疾患全体を満遍なく調べる検査 |
染色体疾患についての説明と、NIPTと初期ドックの比較について動画にまとめています。ご参照下さい。
※音声が出ますのでご注意ください
- NIPTと初期ドックはどう違うのですか?
-
検査方法と目的に違いがあります。
- NIPTは、お母さんの血液から胎児のDNAを調べることで、主な染色体異常(ダウン症、18トリソミー、13トリソミー)のリスクを高精度で評価する検査です。採血で安全ですが、超音波検査と違い形態異常は確認できません。また、結果が陽性の場合は確定診断として羊水検査などが必要です。
-初期ドックは、超音波検査を用いて胎児の形態異常や心臓の異常などを確認します。染色体異常についてもある程度評価できますが、NIPTほど精度は高くありません。一方で、四肢、頭部・躯幹・内臓の構造的な異常も早期に発見できます。
- どちらを受けるべきか迷っています。
-
目的に応じて選択することが大切です。
-染色体異常のリスクを詳しく知りたい場合は、NIPTがおすすめです。特に35歳以上や染色体異常のリスクが高いと考えられる方には有効です。
-胎児の形態的な発育状態を確認したい場合は、初期ドックが適しています。NIPTではわからない構造的な問題を早期に発見することが可能です。
- NIPTと初期ドックは併用できますか?
-
はい、併用することでより多くの情報が得られます。
NIPTでは染色体異常について詳しく調べることができますが、形態的な異常は確認できません。
一方で初期ドックでは形態異常を確認できるため、両方を併用することでより包括的な診断が可能になります。
- NIPTや初期ドックにはデメリットがありますか?
-
それぞれデメリットもあります。
- NIPTは費用が高く、結果が出るまでに時間がかかります。また、一部の染色体異常しか検出できず、確定診断ではないため陽性結果の場合には追加検査が必要です。
-初期ドックは比較的安価でその場で結果がわかりますが、すべての染色体異常や病気を見つけられるわけではありません。また、超音波検査では胎児の姿勢によっては一部の異常が見逃される可能性もあります。
NIPT(血液検査)
当院は出生前検査認証制度等運営委員会が認める認定施設です。
ヘパリンを使用中のお母さまへ
検査への影響を避けるため、採血前24時間の休薬が推奨されています。
休薬についてはあらかじめ処方医師にご確認ください。
- NIPT(新型出生前診断)は、お母さんの血液を採取し、その中に含まれる胎児由来のDNAを調べることで、赤ちゃんに特定の染色体異常があるかどうかをスクリーニングする検査です。この検査は、ダウン症候群(21トリソミー)、18トリソミー、13トリソミーの3つの染色体異常を調べます。
- NIPTは妊娠10週以降に行うことができ、採血だけで行えるため、流産などのリスクがなく、安全に受けられるのが大きなメリットです。
ただし、NIPTは確定診断ではなく、「スクリーニング検査」であるため、陽性結果が出た場合には羊水検査や絨毛検査といった確定診断が必要です。また、NIPTでわかるのは限られた染色体異常のみであり、すべての病気や異常を発見できるわけではありません。
- 費用は税込みで132,000円です。この費用には出生前診断についてのご説明やエコーでの赤ちゃんの心拍確認が含まれています。
- 初期ドックも合わせてご希望される場合は、初期ドックに割引が適用されます。
NIPT検査の流れ
- 1ご説明とご同意
-
厚労省の説明書に沿って、医師から検査についてご説明します。
検査のご同意を頂いたのち赤ちゃんのエコー検査に移ります。
- 2NIPT前のエコー検査
-
赤ちゃんの心拍確認と、十分なサイズに達しているか(10週以上)、もともと双子さんではなかったかをチェックします。
4Dエコーもご覧頂き、ベストショットをカラー写真で差し上げます。
※このエコーには、赤ちゃんのNT測定や構造チェックは含まれていません。ご希望の方は初期ドックも合わせてお申込み下さい。
- 3採血
-
採血結果は1週間後です。
※オンラインでのご説明にも対応しています。ご希望の方はスタッフにお申し付けください。
- 他にもいろいろNIPTがあるようですが、認定施設はどうして3疾患だけなのですか?
-
3疾患以外のNIPTは以下の問題点があるためです。
- 3疾患以外の、稀な疾患を対象にしたNIPTは、精度検証するために大規模な臨床試験が必要で、現状は十分な臨床試験が行われたとは言えず、精度がまだはっきりしていないこと。
- 陽性判定されても多くが擬陽性であり必要ない心配につながること。
- 判明する染色体異常の中に赤ちゃんへの影響が不明なものがあり、「異常はあるが、どうなるか不明」という解消されない不安につながること。
クリックすると拡大します
これに対して、3疾患のNIPTは上記問題はある程度クリアされているため、認定施設では3疾患のNIPTに限定しています。
- どうしてお母さんの血液検査で赤ちゃんの染色体疾患がわかるのですか?
-
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お母さんの血液中には、胎盤のDNAが常に放出されています。この血液中に放出されたDNAを調べることで、赤ちゃんの染色体疾患の可能性がわかります。
- 陽性判定されても擬陽性の場合があるのはなぜですか?
-
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赤ちゃんが正常でも、胎盤だけ異常な場合があるからです。
実は、NIPTは胎盤の染色体を調べているだけで、赤ちゃんの染色体を調べているわけではありません。確かに、3疾患に限っては、胎盤に異常があれば赤ちゃんにも異常がある場合が多いのですが、しかし、胎盤は異常なのに赤ちゃんは問題ない場合も少なからずあります。しかし、このような場合でも、NIPTは陽性判定を出します。これが擬陽性(陽性判定がはずれる)主な原因となります。
- NIPTの精度を詳しく教えて下さい。
-
【陰性判定の場合】
その正確性は99.9%であり、3疾患に関して極めて高い安心感を得ることができます。
【陽性判定の場合】
陽性判定されても擬陽性(=陽性がはずれる)の可能性があるため注意が必要です。下表のように、若いお母さんほど陽性的中率が下がる、すなわち陽性判定がはずれる傾向にあります。そのため陽性判定が出ても慌てずに羊水検査を受け、赤ちゃんは大丈夫なのか確かめることが重要です。
陽性的中率
|
ダウン症 |
18トリソミー |
13トリソミー |
25歳 |
79% |
48% |
17% |
30歳 |
85% |
58% |
23% |
35歳 |
94% |
78% |
43% |
40歳 |
98% |
93% |
74% |
44歳 |
99% |
98% |
90% |
出生前診断認証制度等運営委員会ホームページより
初期ドックについてまとめた動画です。
ご参照ください。
- どうやって確率を出すの?
-
エコーで赤ちゃんの首の後ろの浮腫(NT)、鼻骨、三尖弁逆流、静脈管の波形の4つを調べ、3疾患の確率を計算します。
何人に1人(例えば1/3000)という形式で表現されます。詳しくはこちらをご覧ください
- 確率がどれくらい高いと染色体検査を受けた方かいいの?
-
確率だけでは判断に困られると思いますので、当クリニックでは、以下の1~3の判定基準をご利用頂いています。これは国際産婦人科超音波学会ガイドラインにも掲載されています。
判定基準1及び2は、初期ドックの結果次第で血液検査を追加する方法です。判定基準3は初期ドックの結果に関わらず必ず血液検査を受ける方法です。
【判定基準1】まず初期ドック(確率次第でコンバインドテストを行います)
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(参)ダウン症検出率95%
確率 |
追加検査 |
1/50以上 |
染色体検査 |
1/50~1/1000 |
コンバインド* |
*コンバインドテスト: hCG-βとPAPP-A
NTが3.5mm以上か構造異常がある場合も染色体検査
【判定基準2】まず初期ドック(確率次第でNIPTを行います)
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(参)ダウン症検出率98.4%
確率 |
追加検査 |
1/10以上 |
染色体検査 |
1/10~1/1000 |
NIPT |
※NTが3.5mm以上か構造異常がある場合は、染色体検査
【判定基準3】初めから初期ドックとNIPTを受ける
(参)ダウン症検出率100%
染色体検査の条件
※確率計算は行いません。
- こんな小さいうちから赤ちゃんの病気ってわかるの?
-
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わずか7cm~8cmの赤ちゃんの構造を観察するには高いエコー技術と高性能な超音波装置が必要ですが、下の画像のように決められた断面で赤ちゃんを観察することで、エコーで判明する疾患全体の半数以上が初期に検出されることがわかっています。これら初期に判明する疾患は7割が重篤で、このような疾患だけでも早く確認しておくことはお母さんの安心につながります。
<主な確認項目>
部位 |
確認項目 |
頭部 |
頭蓋骨・側脳室・後頭蓋窩 |
顔面 |
眼球・鼻骨・耳・顎 |
脊椎 |
椎骨 |
四肢 |
両前腕骨・両下腿骨・手指数 |
胸部 |
横隔膜・肺 |
心臓 |
四腔・三血管気管断面 |
腹部 |
内臓配列・胃・肝臓・腸・腎・膀胱・臍帯刺入部・臍帯動脈数 |
- いつ頃が一番いいですか?
-
クリックすると拡大します
グラフのように、赤ちゃんの疾患検出率は週数が進むほど上がります。特に妊娠11週と12週では検出率に大きな差が出るため(下グラフ)、11週での初期ドックは避け、12週以降、できれば12週後半からがお勧めです。但し、確率計算可能なのは13週6日までですのでご注意ください。
初期ドック 詳しくお知りになりたいお母さんに
染色体のご病気リスクを確率計算するために以下の項目の有無を確認します。
- 1.NT肥厚
- 2.鼻骨欠損
- 3.静脈管逆流
- 4.三尖弁逆流
これらは染色体にご病気のあるお子様によく見られる変化です。
すべて当てはまらなければ染色体のご病気の確率は低くなり、当てはまるものがあると確率が高くなります。
1.NT
クリックすると拡大します
後頚部にある黒い帯状の部分NT(Nuchal Translucency)の厚さを計測します。
通常、その厚さはおよそ1mm-2.5mm程度ですが、NTが厚いお子様に染色体のご病気が多いことが知られています。
NT厚さ |
染色体が ご病気のお子様 |
3.5~4.4mm |
21% |
4.5~5.4mm |
33% |
5.5~6.4mm |
50% |
6.5mm~ |
65% |
Souka AP Am J Obstet Gynecol 2005
またNTが厚い場合、染色体以外のご病気も多いことが知られています。そのためNT肥厚はさまざまなご病気の早期サインとしても重要です。
NTの厚さ |
赤ちゃんの 主なご病気 |
3.5~4.4mm |
10% |
4.5~5.4mm |
18% |
5.5~6.4mm |
24% |
6.5mm~ |
46% |
Souka AP Am J Obstet Gynecol 2005
2.鼻骨
鼻に鼻骨がしっかり見えるかどうかを観察します。鼻骨が見えないお子様に染色体のご病気が多いことが知られています。
染色体 |
鼻骨が見えない お子様 |
ダウン症 |
60% |
18トリソミー |
53% |
13トリソミー |
45% |
正常 |
2.5% |
Nicolaides KH Prenat Diagn 2011
3.静脈管血流
赤ちゃんのお腹の静脈管という血管の血流を観察します。逆流が見られるお子様に染色体のご病気が多いことが知られています。
染色体 |
静脈管逆流の お子様 |
ダウン症 |
66% |
18トリソミー |
58% |
13トリソミー |
55% |
正常 |
3.0% |
Nicolaides KH Prenat Diagn 2011
クリックすると拡大します静脈管血流:正常
クリックすると拡大します静脈管血流:逆流
4.三尖弁血流
心臓内の三尖弁という弁を通過する血流を観察します。逆流が見られるお子様に染色体のご病気が多いことが知られています。
染色体 |
静脈管逆流の頻度 |
ダウン症 |
55% |
18トリソミー |
33% |
13トリソミー |
30% |
正常 |
1.0% |
(Nicolaides KH Prenat Diagn 2011)
クリックすると拡大します三尖弁:正常
クリックすると拡大します三尖弁:逆流
早期ドック
妊娠14週~17週の間に行うご病気チェックです。気が付くと初期ドックを受けられる週数を過ぎていた方や、またNIPT(新型出生前診断)を受けたものの、超音波検査をまだ受けていない方にもおすすめです。
早期ドックでわかること
この検査では、胎児の心臓や四肢など、主要な器官が正常に発育しているかを確認します。特に大きな形態異常(身体の構造に関わる異常)は、早い段階で発見できる可能性が高いです。NIPTでは染色体異常のリスクが評価されますが、超音波検査では胎児の形態的な異常を確認することができるため、両者を組み合わせることでより網羅的な情報が得られます。
早期ドックのメリット
1早く安心感を得られる
胎児の成長を早く確認できることで、不安を軽減し、安心して妊娠生活を送ることができます。
2追加検査の準備ができる
万が一異常が疑われた場合でも、羊水検査などの追加検査を行う時間が十分にあります。
3NIPTではわからない情報も確認可能
NIPTは染色体異常のリスク評価には非常に優れていますが、胎児の形態的な異常は超音波検査でしか確認できません。そのためNIPTだけで十分と言えず、超音波スクリーニングと組み合わせることでより初めて大きな安心感が得られます。
注意点
早期ドックでは、染色体異常(ダウン症など)のリスク評価はできません。このため、染色体異常の詳しい検査をご希望の場合は、NIPTなど他の検査をご案内させていただきます。また、この時期では一部の臓器(特に脳)の発育がまだ進んでいないため、中期スクリーニング(18週以降)でさらに確認頂いた方が安心です。
「早期スクリーニング」は、お母さんと赤ちゃんの健康を守るための大切なステップです。NIPTで染色体異常リスクが低いとされても、形態的な異常についても確認することでさらなる安心感が得られます。不安なことやご質問があれば、どうぞお気軽にご相談ください。
中期ドック
妊娠18週から20週ごろに行うご病気チェックです。
- 何を調べる検査なのですか?
-
お体の構造に問題がないか初期ドックの時よりも詳細なご病気チェックを実施します。国際産婦人科超音波学会による3つのガイドライン(全身、中枢神経、心臓)を基本として、数多くの断面で赤ちゃんのお体を評価しご病気の有無を確認していきます。
- 生まれる前に調べるメリットは?
-
生まれた直後に赤ちゃんが急変して命が危なくなる病気をみつけることができます。事前にわかっていれば初めから専門病院でご出産頂くことで、迅速かつ適切な救命処置が始められますが、わからないまま一般の分娩施設でご出産となった場合、多くは受け入れ可能な専門病院を探して救急車で搬送しなければならず、一刻を争う時に治療が遅れてしまいます。
- エコーで赤ちゃんは「大丈夫」と言ってもらっているのですか……
-
「大丈夫」=「ご病気がない」と思われるお母さんは多いと思いますが、この「大丈夫」にはニュアンスに大きな幅があります。特に妊婦健診の流れで行われる、数分のエコーでの「大丈夫」は「発育は普通」とか「すぐわかる大きな病気はなかった」程度のものと思われます。
- 最新の4Dエコーで見てもらっているので大丈夫?
-
いいえ。確かに4Dエコーは最新の技術で、驚くほどリアルな赤ちゃんが映し出されるため、「すごい!これなら何でもわかる!」と思われるのも無理はありません。しかしながら、ご病気チェックとしての用途は限られています。
<主な確認項目>
部位 |
確認項目 |
頭部 |
頭蓋骨・側脳室・透明中隔・脳梁(3D)・シルビウス裂・小脳・後頭蓋窩 |
顔面 |
眼球・水晶体・鼻骨・鼻腔・耳・口唇・顎 |
脊椎 |
椎骨 |
四肢 |
両前腕骨・両下腿骨・手指数 |
胸部 |
横隔膜・肺 |
心臓 |
四腔・左室流出路・右室流出路・三血管気管断面 |
腹部 |
内臓配列・胃・肝臓・腸・腎・膀胱・臍帯刺入部・臍帯動脈数 |
心臓ドック
心臓ドック?ちょっと聞き慣れない言葉かも知れません。しかし生まれてくる赤ちゃんの安全ためにぜひ受けて頂きたい検査です。妊娠25週から30週ぐらいの間に実施します。当院では胎児の心エコーの専門医に相当する日本胎児心臓病学会胎児心エコー認証医がエコーを行っています。
- なぜわざわざ心臓だけを調べるの?
-
心臓のご病気は頻度が高く、また検査に時間もかかるからです。
赤ちゃんのお体の中でも心臓にはご病気が1番多く、1年以内に手術が必要な重症例は300人に1人、軽症のご病気まで含めると100人に1人近く見られます。また心臓は他の臓器と違い構造が複雑で、さらにお腹の赤ちゃんとなると心臓のサイズ自体小さいことから、細かいところまで確認するには時間もかかります。
- 生まれる前に調べた方がいいの?
-
はい、事前にご病気をわかっておくことが赤ちゃんの安全な出産につながります。
心臓のご病気は出生直後に急変して命が危なくなるものがあり、たとえ微細な異常でもご病気によっては救命のため緊急の心臓カテーテル手術が必要になります。事前にわかっていれば出産の際に心臓カテーテル手術がすぐにできるよう万全の体制を取ることができますが、気づかれずにお産となった場合、多くは救急車で専門病院に搬送することになり救命処置が遅れてしまいます。
- お産は別の病院でするので、その時に見てもらってもいいですか?
-
いいえ、転院される前に心臓を見てもらうことをお勧めします。
里帰り出産やオープンシステム(妊婦健診は近くのクリニック、お産は病院で)ご利用のお母さんは妊娠35週頃に分娩施設に転院されますが、実はこの時期になると骨がしっかりしてきてエコーが通らなくなり心臓はあまり見えません。そのため、心臓がよく見える30週頃までに心臓のチェックが受けられるのが望ましいです。
クワトロテスト
ダウン症、18トリソミーの2種類の染色体疾患の可能性を調べる血液検査です。母体の血液中のAFP・非抱合型E3・hCG・InhibinA 4つの成分について調べます。エコー検査は含まれません。
同じ血液検査のNIPTより安価な一方で、ダウン症検出率は80%と、NIPT(99%)や初期ドック(95%)に劣ります。また高齢になるほど疑陽性が出やすいデメリットもあるため、特に高齢のお母さんは注意が必要です。
お願いとお知らせ
当院ではクワトロ検査は妊娠15週0日~16週0日までのお母さんのみ承っています。また検査会社の回収の関係で検査は平日のみ、さらに採血を午前11時までに終える必要があります。また事前にカウンセリングを受けて頂く時間も必要ですので余裕をもって早めにご来院下さい。
尚、当院では検査前に必ずカウンセリングを受けて頂いております。費用は当院初診のお母さんの場合、初診料+カウンセリング料+検査費用で30,000円(税込)、後日の検査結果のご説明に5,500円(税込)で、合計35,500円申し受けています。また、カウンセリングの結果、検査をお受けにならなかった場合も初診料とカウンセリング料合わせて16,500円(税込)頂いておりますのでご了承下さい。
羊水検査
羊水検査とは赤ちゃんの染色体にご病気がないか確定する検査で、お母さんのお腹に針を刺して羊水を採取し、羊水中に浮いている赤ちゃんの皮膚細胞を調べます。直接赤ちゃんの細胞を調べますので最も信頼できる検査方法ですが、検査による流産が300人に1人の頻度で起こってしまいます。そのため初期ドックで確率が高かったお母さんや、とにかく安心が欲しいお母さんが対象となります。尚、絨毛検査は当院では行っておりません。
- 染色体が正常なら赤ちゃんは大丈夫てすか?
-
ご安心が欲しいお母さんにとって酷なお話になってしまいますが、染色体のご病気は赤ちゃんのご病気全体の25%に過ぎず、残りの75%は染色体が正常なご病気です。そのため残りのご病気をチェックするにはエコー検査が必要になります。
4Dエコー
「おなかの赤ちゃんは、どうやって過ごしているのかな?」
「動いている赤ちゃんを見てみたい」
お腹の赤ちゃんの様子がリアルタイムで見られるということで、エコーの日を楽しみにしているお母さんも多いのではないでしょうか?
特に、3D/4Dエコーでは、赤ちゃんが立体的にリアルタイムに見ることができます。
当クリニックでは、美しい4D画像で定評のあるVOLUSONシリーズの最上位機種、VOLUSON Expert 22を使用しています。運が良ければ赤ちゃんの表情やしぐさまでよく見えるので、ますます愛着がわくことでしょう。
- 3Dとどう違うの?
-
3Dは立体的な静止画で4Dは動画です。3Dがカメラ、4Dがビデオと思っていただくとわかりやすいと思います。
- 4Dエコーに適した時期ってあるの?
-
当院では4Dエコーは妊娠15週から28週までのご予約を承っておりますが、概して週数の小さい方が成功率は高いです。
妊娠15週から23週ぐらいまで
まだ赤ちゃんが小さく全身を映すことができるので、後ろ向きでお顔が見えなくても、「あっ、後ろ向き!恥ずかしがり屋さんやなあ^_^」とお楽しみいただけます。
妊娠24週から28週まで
赤ちゃんが大きくなりお体の部分しか映せなくなります。そのため赤ちゃんが後ろ向きだと後頭部や背中の一部しか映らず、「何これ?全然わからない……」とテンションが下がってしまいます。その代わり!お顔が見えたら小さい週数の赤ちゃんよりずっと表情が豊かなことから「すごい!リアルっ!!」、とテンションは超揚げ揚げになります。この週数の4Dエコーは端的に言うとハイリスク・ハイリターンです。
尚、妊娠29週以降は残念な結果に終わることが多いことから、この時期の4Dエコーのご予約は承っておりません。
- 4Dエコーだけして欲しいんですが?
-
はい、行っています。他院で健診を受けていて4Dエコーのみ当院を希望の方もweb録画予約できます。
- 4Dエコーにかかる費用は?
-
当院の妊婦健診を受けておられるお母さんは、エコー動画館登録料3,300円(税込み)を最初にお支払いいただくだけで、中期・心臓・後期ドックのたびに動画館に数分程度4Dエコーを記録いたします。
- *録画は数分で検査すべてを録画するわけではありませんのでご了承ください。
- *胎児エコーを診察室2で行った場合にのみ録画可能です。
- *赤ちゃんのお顔や動いている様子を録画いたします。
当院で妊婦健診されていても4Dだけをしっかりと楽しみたいお母さんや、当院以外で妊婦健診されているお母さんは、8,000円(税込み)で20分間4Dエコーを動画館に記録いたします。
- エコー動画館って何ですか?
-
4Dエコーで録画した胎児の動画をスマホやタブレット、パソコンでいつでも閲覧できるサービスです。