婦人科医の私の子宮内膜症・体験記
発症から手術の決断、入院・手術、術後の回復まで。
産婦人科医の院長が「患者」として経験した記録です。
こんにちは。ふくだあやレディースクリニック院長の福田綾です。
実は、産婦人科医である私自身も、子宮内膜症(チョコレート嚢胞)で腹腔鏡手術を受けた一人です。この記事では、発症から手術を決断するまで、入院・手術当日、そして術後の回復までを、患者として経験したことをもとに時系列で率直に綴りました。
「手術が怖い」「入院ってどんな感じ?」と不安に思っている方、先生から手術を勧められてもなかなか決心できない方に、ぜひ読んでいただきたいと思っています。私の体験談をお伝えすることで、少しでも不安が和らぎ、前向きに治療を考えていただけたら嬉しいです。
子宮内膜症・チョコレート嚢胞という病気そのものについては、子宮内膜症の解説ページもあわせてご覧ください。
Part 1
発症から手術を決断するまで
私も長年、生理痛に悩んでいました
実は私も、長年ひどい生理痛に悩まされてきた一人です。産前・産後からずっと低用量ピルを服用して生理痛をコントロールしていたのですが、40代を迎えたタイミングで、血栓症のリスクを考慮してピルを中断しました。当時はまだ、ディナゲストというお薬がなかった時代です。
案の定、ピルをやめるとまた生理痛がつらくなってきました。「やっぱりしんどいな」と思いながらも、しばらくそのままにしてしまっていました。つらい生理痛の背景に病気が隠れていることもあります。生理痛でお悩みの方は月経痛(生理痛)のページもご覧ください。
ある朝、突然動けなくなった日
ピルを中断してから約3年後のことです。いつも通り出勤したその朝、突然強い腹痛に見舞われ、痛くて動けなくなってしまいました。本当に、下の写真のようなイメージそのままの状態でした。
すぐにMRI検査を受けたところ、右卵巣に6cmのチョコレート嚢胞(卵巣子宮内膜症性嚢胞)があることが判明。「やばい、私…」と、頭が真っ白になりました。
定期的に経過観察はしていたのですが、それまでそれほど大きくなかった嚢胞が急激に増大していたのです。腹痛の強さと急速な増大——「がんだったらどうしよう」と、不安しかありませんでした。
「やっぱり、手術しよう」
腹痛の強さと嚢胞の急な増大をふまえて、これは手術が必要だと判断しました。根本的に治したい、再発のリスクを減らしたい、毎月のつらさから解放されたい——自分の体とこれからの人生のために決めた選択でした。
※手術をするかどうか、どの治療を選ぶかは、嚢胞の大きさや症状、年齢、妊娠のご希望などによって一人ひとり異なります。必ず主治医とご相談ください。
Part 2
入院前日〜入院当日
入院前日:スーツケースに荷物を詰め込んで
卵巣嚢腫6cmの発覚後、何とか痛みをやり過ごし、1ヶ月後にJCHO大阪病院で腹腔鏡手術を受けることを決めました。当時信頼していた産婦人科の部長に執刀をお願いし、研修医の先生も快く主治医を引き受けてくださいました。本当にありがとうございました。
手術は前日入院。入院前日、スーツケースに1週間分の荷物を詰め込みました。
入院に持って行ったもの
- 下着(1週間分)・靴下・お水のペットボトル(院内のコンビニでも調達できます)
- パジャマ——おすすめは前開きのネグリジェ(傷のチェックのときに便利です)。コンビニに行くときのデニムやカーディガンも(パジャマのままでは1階のコンビニへ行きにくいので)
- タオル類——ボディータオルも忘れずに
- メガネ(手術当日はコンタクトレンズが使えません)とコンタクト
- 洗面用具・スキンケア用品・バレッタやヘアゴムなど、日常使いしているものが大事です
- 充電器・暇つぶしグッズ(本など)・ノートPC(私は学会の準備などの仕事ができました)。個室だったのでワイヤレススピーカーも持って行きました
- 普段飲んでいるお薬は必須です。看護師さんにお預けします
入院当日:麻酔科の先生との術前診察
入院した日は、麻酔科の先生による手術前の診察がありました。手術の流れや麻酔の方法について、とても丁寧に説明していただきました。
私の麻酔は、全身麻酔(眠っている間に手術)と、点滴での痛み止め(術後の痛みをコントロール)という方法でした。麻酔科の先生がしっかり説明してくださったおかげで、あまり緊張せずに過ごせました。
入院時の婦人科診察も受けて1日が終了。入院初日の夜は、意外にもぐっすり眠れました。さぁ、明日は手術です。
Part 3
手術当日〜翌朝
朝いちばんの手術室へ
翌朝、朝1番の手術だったので、起きたらすぐに手術室へ向かいました。
麻酔科の先生が「眠くなりますよ〜」とおっしゃったところまでは覚えているのですが、次に気づいたら、もう病室にいました。手術中の記憶はまったくありません。担当の手術室看護師さんによると、手術が終わった直後からベラベラとしゃべっていたそうです…恥ずかしい限りです。
正直、いちばんつらかったこと
手術当日、おへその傷の痛みはありましたが、実はそれよりもつらかったことがあります。いちばんつらかったのは、尿道カテーテルでした。
膀胱の中に管(バルーン)を入れて一晩過ごすのですが、これが本当に不快で…。傷の痛みよりも、この膀胱の中の管の不快感のほうが記憶に残っています。正直に言うと、「また手術はしたくない」と思う理由は、痛みではなくこのカテーテルです。
あとは、足に巻いて寝る血栓予防のフットポンプ。これが膨らんだりゆるんだりするたびに目が覚めていました。
夜中も看護師さんが働いていた
手術当日の夜、夜勤の看護師さんが何度も血圧を測ってくれたり、点滴を調整してくれたりしていました。「夜中もずっと働いてくださっているんだ…」と、医師でありながら、あらためて感謝の気持ちでいっぱいになりました。
手術翌朝:いよいよ歩行練習スタート
術後翌朝の朝6時頃、夜勤の看護師さんと一緒に初めての歩行練習をしました。「どれだけ痛いのかな…」と思っていましたが、トイレまで案外すんなり歩けました。お腹の痛みも少しずつ和らいでいきました。
Part 4
術後の回復・退院・仕事復帰
手術翌日から、思ったより動けた
手術の翌日、第一歩行も無事にクリア。自分でトイレに行けるようになり、傷の痛みは少しあるものの、処方していただいた痛み止めのおかげでとても楽に過ごせました。
微熱は3日ほど続きましたが、体のだるさはほとんどなく、思っていたよりもずっと快適。お腹に小さな穴を開ける腹腔鏡手術は、回復が早いと言われていることを、私の場合も身をもって実感しました。
- 術後2日目:シャワーを浴びられました
- 術後3日目:病院の敷地内にある小さな公園まで歩いて、外の空気を思いきり吸ってきました。この空気がおいしかった!
- 術後5日目:すっかり元気になり、無事に退院することができました
どんどん体が楽になっていくのがわかって、だんだん病室の中だけで過ごすのが物足りなくなってくるほどでした(笑)。
卵巣を1つ失ったことへの喪失感
ただ、自宅に帰ってから、卵巣を1つ失ったことへの喪失感がふいに襲ってきました。自分でも意外なほど落ち込んでしまい、卵管を切除したこともあって「もう妊娠は希望できないんだな」という現実と向き合う時間は、少し胸が苦しくなる瞬間もありました。
子宮を全摘出された方の喪失感はどれほど深いのだろうと思うと、同じ女性として胸が締め付けられるような思いもいたしました。
自宅療養から仕事復帰へ
自宅では、家事はいつも通りほぼできました。洗濯物を干すときは、お腹が少し痛かったでしょうか。入浴はできないのでシャワーだけでしたが、それでも自宅でゆっくり過ごせることに満足感いっぱいでした。
そんな心の葛藤もありましたが、自宅療養を1週間ほど経て、無事に仕事復帰を果たしました。職場のみんなの協力あってのこと、本当にありがとうございました。
私はもともと人より元気なタイプということもあり、復帰後はすぐに通常業務をこなせましたが、復帰までの期間は人それぞれです。みなさんは決して無理をせず、主治医と相談しながら、ご自身の体調に合わせてゆっくり復帰してくださいね。
当時は子どもがまだ小学生で手がかかる時期だったので、今振り返ると「あの頃の私、本当によく頑張って動けていたなぁ」としみじみ思います。
その後の経過と、いま伝えたいこと
術後は50歳まで、ディナゲスト1.0mgを内服しました。私の場合は再発なく経過し、無事に閉経を迎えることができました(経過には個人差があります)。
子宮内膜症は、手術やお薬による治療の選択肢がある疾患です。今回の体験記が、いま手術を控えている方や治療について悩んでいる方の不安を少しでも軽くし、一歩を踏み出すきっかけになれば嬉しいです。治療の選択に迷ったときは、一人で抱え込まず、主治医とじっくり相談してくださいね。
FAQ
🟤 よくあるご質問
Doctor's Message
院長より — 手術や治療を迷っている方へ
「手術が怖い」「入院が心配」——そのお気持ちは、実際に患者として経験した私にはよくわかります。不安に思うのは自然なことです。
手術をするかどうか、どの治療を選ぶかに「唯一の正解」はありません。だからこそ、疑問や不安はそのままにせず、主治医に納得いくまで相談してみてください。当院でも、生理痛や子宮内膜症のご相談の際には、この体験談も踏まえて丁寧にご説明しています。婦人科診療の全体については婦人科のページをご覧ください。
WEB・LINE予約は24時間受付中です。お気軽にご相談ください。
ふくだあやレディースクリニック 院長 福田 綾(産婦人科専門医)
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診療内容(本院)
婦人科・妊婦健診・子宮頸がん検診・医療脱毛など。生理痛・子宮内膜症・チョコレート嚢胞のご相談は当院(本院)をご受診ください。手術が必要な場合は連携医療機関をご紹介します。
※ 本ページは院長・福田綾自身の体験を綴った個人の体験記です。症状・経過・治療の効果には個人差があります。個々の症状・治療については必ず医師にご相談ください。