妊娠中のヘアカラー・パーマ・縮毛矯正
おしゃれを我慢しすぎなくて大丈夫。
時期と受け方を少し工夫するだけで、気になる点は減らせます。
大阪市北区・南森町のふくだあやレディースクリニック 院長の福田綾です。
「美容院の予約を入れていたけれど、妊娠がわかってキャンセルすべきか迷っている」「出産前に縮毛矯正をかけておきたい」——妊婦健診でいただく、身近だけれど切実なご相談です。
このページでは、カラーやパーマ、縮毛矯正について今わかっていることとまだはっきりしないことを分けて整理し、受けるならどうすると安心かをお伝えします。
What We Know
赤ちゃんへの影響について、わかっていること
まず安心していただきたいのは、ご自身のおしゃれとしてたまに髪を染める・パーマをかける程度で、赤ちゃんの先天異常が増えるというデータは、これまでのところ見つかっていないということです。
ヘアカラー剤は頭皮に触れますが、体の中に入っていく量は非常に少ないと考えられています。カナダの医師向けレビューでも、妊娠中に数回、自分の髪に使う程度なら、心配する必要はほとんどないとまとめられています。
一方で「データが少ない」ことも事実です
妊婦さんを対象に、薬剤の影響をきちんと比べた研究はそもそも多くありません。「害があるとわかっている」のではなく、「十分に調べられていない部分が残っている」というのが正確なところです。そのため、海外の資料の中には「妊娠初期は念のため控えるほうがよい」という慎重な立場をとるものもあります。
Best Timing
受けるなら、妊娠中期(安定期)以降がおすすめ
当院では、急ぎでなければ妊娠12週ごろまでの妊娠初期は避け、妊娠中期以降にしていただくことをおすすめしています。理由は次の3つです。
- ① 赤ちゃんの体の器官がつくられる時期だから——影響がはっきりしない物質は、この時期だけでも避けておくと安心です
- ② つわりと重なりやすいから——薬剤のにおいで気分が悪くなる方が少なくありません
- ③ 肌が敏感になっているから——妊娠中はホルモンの影響で、これまで問題なく使えていたカラー剤で、急にかぶれる方もいます
なお、妊娠に気づく前に染めていたという方も心配はいりません。上に書いたとおり、通常の使用で赤ちゃんに影響が出るという根拠は示されていません。
出産直前の駆け込みにもご注意を
「産後はしばらく美容院に行けないから」と臨月に予約される方もいますが、妊娠後期は長時間座っていることや、シャンプー台で仰向けになることがつらくなる時期です。仰向けの姿勢では、大きくなった子宮が血管を圧迫して、気分が悪くなったり血圧が下がったりすることがあります(仰臥位低血圧症候群)。妊娠中期のうちに済ませておくと、体の負担も少なくすみます。
At the Salon
サロンで伝えたいこと・お願いしたいこと
| お願いしたいこと | 理由 |
|---|---|
| 予約時・来店時に「妊娠◯週です」と伝える | 施術時間や姿勢、薬剤選びに配慮してもらいやすくなります |
| 根元から少し離して塗る、頭皮につけにくい塗り方にしてもらう | 皮膚に触れる薬剤の量を減らせます |
| 換気のよい席・時間帯にしてもらう | 薬剤のにおいを吸い込む量が減り、気分不良も防げます |
| 途中で休憩をはさむ・楽な姿勢にしてもらう | 長時間の同じ姿勢は、むくみや腰痛、気分不良の原因になります |
| 初めての薬剤はパッチテストをしてもらう | 妊娠中は肌質が変わることがあるため |
放置時間は必要最小限にして、施術後はしっかり洗い流しましょう。カラーとパーマ(縮毛矯正)を同じ日に重ねると、時間も薬剤の量も増えるので、日を分けるのも一つの方法です。
ヘナや「オーガニック」のカラーなら安心?
植物由来をうたう製品でも、発色のために化学成分が加えられていることがあり、かぶれの原因になることもあります。「天然だから必ず安全」とは言えないため、選ぶ基準は通常のカラーと同じです。成分表示を確認し、パッチテストを行いましょう。
For Hairdressers
美容師など、お仕事で毎日薬剤を扱う方へ
ご自身が年に数回染めることと、お仕事として毎日のように薬剤に触れることは、分けて考える必要があります。
国内の大規模調査(環境省「子どもの健康と環境に関する全国調査(エコチル調査)」)のデータを用いた研究では、妊娠中に仕事で週1回以上ヘアカラー剤を扱っていた方で、死産との関連が報告されています(一方、妊娠初期の使用と流産との間にははっきりした関連はみられませんでした)。因果関係まで示したものではありませんが、職業として扱う方は対策をとっておくのが望ましいと考えられます。
- カラー剤・パーマ液を扱うときは、必ず手袋を着用する
- サロン内の換気を十分に行う
- 長時間の立ち仕事が続かないよう、休憩や座ってできる業務をはさむ
- カラー担当の時間を減らせないか、早めに職場と相談する
職場への相談の仕方や、医師の指導内容を職場に伝える「母健連絡カード」については、妊娠したら職場にいつ伝える?のページで詳しくご紹介しています。
FAQ
よくあるご質問
Doctor's Message
院長より — おしゃれは、気分転換の大切な時間です
妊娠中は体型も生活も大きく変わり、思うようにいかないことも増えます。髪を整えて気分が明るくなるのは、心の健康にとっても大切なことだと私は思っています。
「全部だめ」と我慢するのではなく、時期と受け方を少し工夫して、楽しめるところは楽しんでくださいね。迷ったときは、健診の際にお気軽にお声がけください。
妊娠中の肌のお手入れについては妊娠中のスキンケア・妊娠線予防のページもご覧ください。
ふくだあやレディースクリニック 院長 福田 綾(産婦人科専門医)
Clinic Information
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ふくだあやレディースクリニック(本院)
院長 福田 綾(産婦人科専門医)
〒530-0038
大阪府大阪市北区紅梅町1-6 カザリーノビル1階
TEL:06-6354-0088
アクセス
- 大阪メトロ 谷町線・堺筋線「南森町駅」3番・5番出口より徒歩約3分
- JR東西線「大阪天満宮駅」9番出口より徒歩約1分
このページの内容について
妊娠中の美容・おしゃれに関するご質問も、妊婦健診の際にお気軽にどうぞ。お仕事上の配慮が必要な方は、母健連絡カードについてもご相談いただけます。
参考文献・参考情報:本ページは、院長ブログで取り上げたテーマをもとに、以下の学会・公的機関の公開情報や論文を参照して当院が書き下ろしたものです。
- Chua-Gocheco A, Bozzo P, Einarson A. Safety of hair products during pregnancy. Can Fam Physician. 2008;54(10):1386-1388.
- Ooka T, et al. Association between maternal exposure to chemicals during pregnancy and the risk of foetal death: the Japan Environment and Children's Study. Int J Environ Res Public Health. 2021.
- American College of Obstetricians and Gynecologists. Committee Opinion No. 832: Reducing Prenatal Exposure to Toxic Environmental Agents. 2021.
- 環境省「子どもの健康と環境に関する全国調査(エコチル調査)」(https://www.env.go.jp/chemi/ceh/)
※ 本ページの内容は、日本産科婦人科学会ガイドライン・最新の医学的エビデンスに基づき、院長・福田綾が監修しています。個々の症状・治療については必ず医師にご相談ください。