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【ご注意・免責事項】 本ページの情報は、一般的な医学知識の提供を目的としたものであり、特定の疾患の診断・治療を推奨するものではありません。症状や状態は個人によって大きく異なります。自己判断による診断・治療は思わぬ健康被害につながる場合がありますので、気になる症状がある場合は必ず医師にご相談ください。本ページの情報に基づく行動によって生じたいかなる損害についても、当院は責任を負いかねます。
ふくだあやレディースクリニック 妊婦健診
Exercise & Lifting

妊娠中の運動と重い荷物の目安

「安静に」が基本の時代は変わりました。
体を動かすことと、無理をしないことの線引きをお伝えします。

大阪市北区・南森町のふくだあやレディースクリニック 院長の福田綾です。

「妊娠中は動かないほうがいいですか?」「ジムは続けていい?」「来月引っ越しなんですが、段ボールは持てますか?」——体の動かし方についてのご質問は、妊婦健診でとても多いテーマです。

このページでは、米国産婦人科学会(ACOG)の見解をもとに、妊娠中の運動の目安と、重い物を持つときの目安を一つにまとめました。

Exercise

運動は「控えるもの」から「続けるもの」へ

かつては「妊娠中は安静に」と言われることもありましたが、現在は考え方が変わっています。ACOGは、運動を控えるべき合併症がなければ、体を動かすことは妊娠中も安全で、むしろ勧められるものとし、運動の継続や、新たに始めることも勧めています。

どのくらい動けばいいの?

目安は中くらいの強さの有酸素運動を、1週間で合計150分ほど。たとえば「1日30分を週5日」です。一度に30分が難しければ、10分を3回に分けてもかまいません。

「中くらいの強さ」の目安は、おしゃべりは続けられるけれど、歌を歌うのはきつい程度。息が上がって話せないほどなら、強すぎるサインです。

運動することで期待できること

  • 妊娠糖尿病や妊娠高血圧症候群になりにくいという報告
  • 体重が増えすぎるのを防ぐ
  • 腰痛・便秘・むくみの軽減、気分の安定や睡眠の改善
  • 帝王切開や器械分娩(吸引・鉗子)が少なかったという報告、産後の回復の助け

運動経験がない方が、妊娠中に新しく始めることも問題ありません。その場合は1回10〜15分程度の軽いウォーキングから、少しずつ増やしていきましょう。

Choosing Activities

取り入れやすい運動、避けたい運動

おすすめ避けたいもの
散歩・ウォーキング
プールでの水中ウォーキングや水泳、アクアビクス
エアロバイク(固定式自転車)
妊婦さん向けのヨガ・ピラティス・ストレッチ
軽い筋力トレーニング
人や物とぶつかりやすい球技(サッカー・バスケットボールなど)
転びやすいスポーツ(乗馬・スノーボード・スキー、自転車での遠出など)
スキューバダイビング
高温の室内で行うヨガ・ピラティス(体温が上がりすぎるおそれ)

運動中に気をつけたいこと

  • こまめに水分をとる。暑い日・蒸し暑い室内での運動は避ける
  • 妊娠中期以降、仰向けで長く続ける運動は控えめに(気分が悪くなることがあります)
  • お腹が大きくなると重心が変わり、転びやすくなります。足元の安定した場所で
  • お腹が張ってきたら休む。休んでも張りが続くなら、その日はおしまいに

Warning Signs

すぐに中止して受診してほしいサイン

  • 性器からの出血
  • 痛みを伴うお腹の張りが、規則的にくる
  • 水っぽいものが流れ出てくる(破水かもしれません)
  • 動く前から息が苦しい・胸が痛い
  • めまい・頭痛
  • ふくらはぎの痛みや腫れ(血栓の可能性)
  • 胎動がいつもより少ない

運動を控えたほうがよい場合

次のような状態の方は、運動を控えるよう指示されることがあります。運動を始める前に、必ず健診でご相談ください。

  • 持病として心臓・肺の病気がある
  • 子宮頸管無力症、頸管縫縮術を受けている
  • 切迫早産・前期破水、早産のリスクが高い多胎妊娠
  • 妊娠中期を過ぎても出血を繰り返している、妊娠26週以降の前置胎盤(前置胎盤・低置胎盤について)
  • 妊娠高血圧症候群、重い貧血

Lifting

荷物は何キロまで? — 重さより「回数と時間」

「妊娠中は◯kgまで」という一つの基準はありません。ACOGは、どのくらいの頻度で、どのくらいの時間持ち上げるかと妊娠週数によって目安が変わるという考え方を示しています。もともとは職場での荷物の取り扱いを想定してつくられた数字ですが、家事や引っ越しを考えるうえでも参考になります。

下の表は、荷物を体にぴったり近づけ、ひねらずに両手で、太ももから胸のあいだの高さで扱うという最も条件のよい場合の上限の目安です。

作業の頻度〜妊娠19週妊娠20週〜
たまに持ち上げる約16kg約12kg
くり返し持ち上げる(短時間)約14kg約10kg
くり返し持ち上げる(長時間)約8kg約6kg

出典:ACOG Committee Opinion No.733(米国国立労働安全衛生研究所の計算式を妊婦さん向けに調整した暫定的な目安)。

床の物を持ち上げる・頭より高い所から下ろす・腕を伸ばした状態で持つといった場合は、表の数字よりさらに軽く考えましょう。お米の袋や水のケース、上のお子さんの抱っこなど、日常の中にも「重い物」はたくさんあります。

海外の研究では、重い荷物を1日に何度も持ち上げる作業が、流産や早産、低出生体重と関連していたという報告があります。一度重い物を持ったからといってすぐに何かが起こるわけではありませんが、「重い物を、何度も、長時間」は避けたい組み合わせです。

Moving House

妊娠中に引っ越しをする方へ

  • 重い荷物の運搬は業者さんやご家族に。梱包まで任せられるプランも検討を
  • 段ボールは小さめに、軽く詰める。本や食器は小箱に分けて
  • 床から持ち上げるときは膝を曲げ、体に引き寄せて。中腰のまま・腰をひねる動きは避ける
  • 脚立・踏み台に乗る作業はしない。お腹で足元が見えにくく、転倒しやすくなります
  • こまめに休憩と水分補給。座ってできる荷ほどきや指示役を担当するのも一つの方法です

手続きも早めに

  • 母子健康手帳は、引っ越し後もそのまま使えます
  • 妊婦健診の受診券(補助券)は市区町村ごとの制度のため、転居すると使えなくなることが多いです。転入先の役所で手続きを
  • 転院する場合は、紹介状とこれまでの検査結果をお渡しします。分娩予約は時期によって早く締め切られることもあるため、転居先での健診先・出産先は早めに探し始めましょう

当院から転居される方、当院へ転院を考えている方は、健診の際にお気軽にご相談ください(里帰り分娩・セミオープンシステム)。

FAQ

よくあるご質問

Q. 妊娠中に運動を始めても大丈夫ですか?
A. 運動を控えるべき合併症がなければ、妊娠中に新たに運動を始めることも勧められています。1回10〜15分程度の軽いウォーキングなどから始め、少しずつ増やしましょう。始める前に妊婦健診でご相談ください。
Q. 妊娠中はどのくらい運動すればいいですか?
A. 中くらいの強さの有酸素運動を週に合計150分ほど、たとえば30分を週5日が目安です。強さは、おしゃべりはできても歌うのはきついくらいを目安にしてください。
Q. 妊娠中に重い荷物は何キロまで持てますか?
A. 一つの基準はなく、持ち上げる頻度・時間・妊娠週数で変わります。米国産婦人科学会の目安では、条件のよい持ち方でも妊娠20週以降はときどきで約12kg、くり返しなら約10kg以下です。床からの持ち上げや長時間の作業では、さらに軽くしましょう。
Q. 妊娠中の引っ越しで気をつけることは?
A. 重い荷物の運搬は業者さんやご家族に任せ、脚立に乗る作業は避けましょう。妊婦健診の補助券は転居先の市区町村で手続きが必要になることが多く、転院先や分娩施設も早めに決めておくと安心です。
Q. ホットヨガは続けてもいいですか?
A. 妊娠中は体温が上がりすぎるのを避けたいため、ホットヨガやホットピラティスは控えましょう。常温で行う妊婦さん向けのヨガであれば取り入れやすい運動です。

Doctor's Message

院長より — 「動いて大丈夫?」と迷ったら

運動は、体重管理だけでなく、気分転換やよく眠ることにもつながります。妊娠経過が順調なら、できる範囲で体を動かしてほしいと思っています。

一方で、引っ越しや大掃除のように「重い物を何度も」が重なる場面では、思い切って周りに頼ってください。どこまで動いてよいかは妊娠経過によって変わりますので、迷ったときは健診で遠慮なく聞いてくださいね。

お仕事で重い物を扱う方は、母健連絡カードで職場に配慮をお願いすることもできます。

ふくだあやレディースクリニック 院長 福田 綾(産婦人科専門医)

Clinic Information

クリニック情報・アクセス・ご予約

ふくだあやレディースクリニック(本院)

院長 福田 綾(産婦人科専門医)

〒530-0038
大阪府大阪市北区紅梅町1-6 カザリーノビル1階

TEL:06-6354-0088

アクセス

  • 大阪メトロ 谷町線・堺筋線「南森町駅」3番・5番出口より徒歩約3分
  • JR東西線「大阪天満宮駅」9番出口より徒歩約1分

このページの内容について

運動の始め方や、お仕事・引っ越しなどで体を使う予定のある方は、妊婦健診の際にご相談ください。転居にともなう紹介状の作成も承ります。

ご予約・お問い合わせ

WEB・LINE予約は24時間受付中。お待ちの時間を短縮できます。

料金については料金ページをご参照ください。

参考文献・参考情報:本ページは、院長ブログで取り上げたテーマをもとに、以下の学会・公的機関の公開情報や論文を参照して当院が書き下ろしたものです。

  • American College of Obstetricians and Gynecologists. Committee Opinion No. 804: Physical Activity and Exercise During Pregnancy and the Postpartum Period. Obstet Gynecol. 2020;135:e178-88.
  • American College of Obstetricians and Gynecologists. Committee Opinion No. 733: Employment Considerations During Pregnancy and the Postpartum Period. Obstet Gynecol. 2018;131:e115-23.
  • MacDonald LA, et al. Clinical guidelines for occupational lifting in pregnancy: evidence summary and provisional recommendations. Am J Obstet Gynecol. 2013;209(2):80-88.
  • Cai C, et al. The impact of occupational activities during pregnancy on pregnancy outcomes: a systematic review and meta-analysis. Am J Obstet Gynecol. 2020.

※ 本ページの内容は、日本産科婦人科学会ガイドライン・最新の医学的エビデンスに基づき、院長・福田綾が監修しています。個々の症状・治療については必ず医師にご相談ください。

最終更新:2026年10月20日 監修:院長 福田 綾(産婦人科専門医)
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