葉酸サプリはいつからいつまで?
カギになるのは「妊娠に気づく前」の数週間。
始める時期・続ける期間・量の目安を整理しました。
大阪市北区・南森町のふくだあやレディースクリニック 院長の福田綾です。
妊活中の方や妊娠がわかったばかりの方から、「葉酸っていつまで飲めばいいんですか?」「妊娠に気づくまで飲んでいなかったけれど大丈夫?」と聞かれることがよくあります。
先に結論をお伝えすると、葉酸サプリがいちばん力を発揮するのは「妊娠を考え始めたころ」から「妊娠12週ごろ」までです。このページでは、その理由と、12週を過ぎてからの続け方、量やサプリの選び方の目安をまとめました。
Why Before Pregnancy
なぜ「妊娠前から」なのでしょうか
葉酸は、細胞が分かれて増えるときに欠かせないビタミンB群の一つです。赤ちゃんの体づくりが急速に進む妊娠初期には、とくに多く必要になります。
なかでも大切なのが、のちに脳や脊髄になる「神経管」という管の形成です。神経管は受精からおよそ4週間——月経周期から数える妊娠週数でいうと妊娠6週ごろまでに閉じます。この管がうまく閉じないと、二分脊椎や無脳症などの神経管閉鎖障害が起こることがあります。
妊娠6週は、多くの方が「生理が遅れているかも」と気づき、検査薬を試すころです。つまり、妊娠に気づいてから飲み始めたのでは、いちばん大切な時期の大半が過ぎてしまうことになります。妊娠を考え始めた段階から飲んでおくことが勧められているのは、このためです。
厚生労働省も、妊娠を計画している女性に対し、ふだんの食事とは別に、サプリメントなどで1日400μgの葉酸をとるよう勧めています。葉酸を十分にとることで神経管閉鎖障害の発症リスクを減らせることが、国内外の研究で示されています。
When to Take
時期ごとの飲み方の目安
国際的な指針(WHO・米国予防医学専門委員会など)は、いずれも「妊娠前から妊娠初期(12週ごろ)まで」を中心期間としています。当院では、これをふまえて次のような流れをおすすめしています。
| 時期 | おすすめの飲み方 | ポイント |
|---|---|---|
| 妊娠を考え始めたら (遅くとも妊娠の1か月以上前) | 葉酸サプリを開始 (1日400μgが基本) | 避妊をやめる時期が目安。妊娠に気づく前の期間をカバーします |
| 妊娠がわかってから 妊娠12週ごろまで | 毎日欠かさず継続 | 神経管ができあがる最重要期間。飲み忘れが続かないように |
| 妊娠13週以降〜出産 | 葉酸を含む妊婦向けマルチビタミンへ切り替え | 葉酸「単独」で続ける根拠は確立していません。鉄やビタミンDなど他の栄養とあわせて |
| 授乳期 | 必要に応じてマルチビタミンを継続 | 授乳中は葉酸の必要量が妊娠前より多くなります |
「12週を過ぎたら葉酸はもういらない」という意味ではありません。妊娠中期以降も葉酸は必要ですが、神経管閉鎖障害の予防という目的に限れば、12週を過ぎると役目の大部分を終えると考えられています。そこから先は、葉酸だけを飲み続けるより、妊娠中に不足しやすい栄養をまとめて補える形に切り替えるのが合理的です。
How Much
量の目安と、食事だけでは足りない理由
一般的な目安はサプリメントから1日400μgです(海外では400〜800μgとする指針もあります)。
「野菜をしっかり食べていれば大丈夫」ではない理由
葉酸はほうれん草やブロッコリー、枝豆、納豆、いちごなどに含まれますが、食べ物の中の葉酸は水に溶けやすく熱に弱いため、ゆでたり炒めたりするうちに減ってしまいます。さらに、体に吸収される割合もサプリメントの葉酸に比べて低いことがわかっています。
そのため、食事は食事として大切にしながら、妊娠前後の時期だけはサプリメントで確実に上乗せするのが、国の推奨の考え方です。
多ければ多いほどよい、わけではありません
サプリメントからの葉酸は、特別な指示がない限り1日1,000μg(1mg)を超えないようにとされています。とりすぎると、ビタミンB12不足による貧血の発見が遅れるおそれなどが指摘されているためです。複数のサプリを併用している方は、合計量を一度確認してみてください。
Higher Dose
高用量の葉酸が必要になる方
次に当てはまる方は、赤ちゃんの神経管閉鎖障害が起こりやすいことがわかっており、医師の管理のもとで通常より多い量の葉酸が勧められることがあります。
- 以前の妊娠で、神経管閉鎖障害のお子さんを妊娠・出産したことがある
- てんかんなどで、葉酸の働きに影響するお薬(一部の抗てんかん薬など)を飲んでいる
- 妊娠前から糖尿病がある
- 肥満(BMIが高め)である
高用量の葉酸は処方薬として用いるもので、市販のサプリを何粒も重ねて飲むことで代わりにするものではありません。持病のお薬を飲んでいる方は、自己判断でお薬を中止したりせず、妊娠を考え始めた段階で主治医と当院の両方にご相談ください。
Choosing a Supplement
サプリメントを選ぶときのチェックポイント
- 葉酸の量が1日分で400〜800μg程度か——表示が「1粒あたり」か「1日分あたり」かも確認を
- 「モノグルタミン酸型」の葉酸か——国の推奨はこのタイプ(いわゆる合成葉酸)を前提にしています
- ビタミンA(レチノール)が多すぎないか——妊娠初期のビタミンAのとりすぎは避けたい成分です。βカロテンとしての配合なら心配は少なくなります
- 続けやすいか——毎日飲めることが何より大切。粒の大きさや飲むタイミングも選ぶポイントです
医療機関でのみ扱われている葉酸サプリを、当院でもご用意しています。詳しくはサプリメント外来のページをご覧ください。もちろん、ドラッグストアのサプリでも上の条件を満たしていれば問題ありません。お手持ちのサプリの成分表示を健診に持ってきていただければ、一緒に確認します。
なお、レバーはビタミンAを多く含むため、妊娠初期に毎日のように大量に食べることは控えめにしましょう。
FAQ
よくあるご質問
Doctor's Message
院長より — 「飲み忘れた日があった」と心配な方へ
葉酸のお話をすると、「何日か飲み忘れてしまった」「妊娠に気づくのが遅れて、最初は飲めていなかった」と、ご自身を責めてしまう方がいらっしゃいます。
葉酸は、飲んでいればリスクを下げられるものであって、飲み忘れた日があったからといって何かが決まってしまうものではありません。大切なのは、気づいた今日から続けることです。
妊娠を考え始めた方はプレコンセプションケアのページも、妊娠がわかった方は妊娠検査薬が陽性のときの初診ガイドもあわせてご覧ください。
ふくだあやレディースクリニック 院長 福田 綾(産婦人科専門医)
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ふくだあやレディースクリニック(本院)
院長 福田 綾(産婦人科専門医)
〒530-0038
大阪府大阪市北区紅梅町1-6 カザリーノビル1階
TEL:06-6354-0088
アクセス
- 大阪メトロ 谷町線・堺筋線「南森町駅」3番・5番出口より徒歩約3分
- JR東西線「大阪天満宮駅」9番出口より徒歩約1分
このページの内容について
妊活中の方の葉酸・栄養のご相談は、婦人科受診やプレコンセプションケアの際に、妊娠中の方は妊婦健診の際にお気軽にお声がけください。
参考文献・参考情報:本ページは、院長ブログで取り上げたテーマをもとに、以下の学会・公的機関の公開情報や論文を参照して当院が書き下ろしたものです。
- 厚生労働省「神経管閉鎖障害の発症リスク低減のための妊娠可能な年齢の女性等に対する葉酸の摂取に係る適切な情報提供の推進について」(https://www.mhlw.go.jp/)
- 厚生労働省「日本人の食事摂取基準」
- World Health Organization. WHO recommendations on antenatal care for a positive pregnancy experience. 2016.
- US Preventive Services Task Force. Folic Acid Supplementation to Prevent Neural Tube Defects: Recommendation Statement. JAMA. 2023.
- 日本産科婦人科学会(https://www.jsog.or.jp/citizen/)
※ 本ページの内容は、日本産科婦人科学会ガイドライン・最新の医学的エビデンスに基づき、院長・福田綾が監修しています。個々の症状・治療については必ず医師にご相談ください。